
【レポート】 ビデキンちゃんが行く ~InterBEE2015・その他Vol.1~

4Kとなるとカメラ以外にも色々なものが対応してきます。ビデオレコーダーなんかもその一つですね。ちょっと前までは4Kのレコーダーってラックに入っていて何十キロもあったんですが、カメラに装着できる小型な製品が各社から出ています。
カメラで4K記録できるわけですから当然ではありますが、やはり高速なメモリーの出現が大きいと思います。ただ、現状ではこうした高速なメモリーは高価なので、本体のレコーダーだけでなく記録媒体も購入時には考慮が必要でしょう。また、カメラと接続するインターフェースもHDMIやSDIがあり、更にSDIは12Gなら1本で済みますがそうじゃないと4本接続しなくてはなりません。この辺り接続するカメラのインターフェースも含めて考える必要がありそうです。また、4Kレコーダーといっても60P記録への対応や圧縮コーデック、更には編集システムも視野に入れなくてはならないでしょうね。
さて、今回のInterBEEでAJAさんが新しいレコーダーを発表しました。ATOMOSさんも新製品がありますね。幾つか見てみましょう。

ATOMOSさん SHOGUNは、最新ファームでEOS C300Mk2やC500に搭載されているキヤノンRAWをProResまたはDNxに記録可能になりました。

ATOMOSさん Ninja ASSASSINはSHOGUNからSDIを省略してコストダウンを図ったものですが、それに伴いRaw記録などができなくなっています。HDMIしか使わないユーザーにとってはSHOGUNを安価に手に入れることができるようになったという感じでしょうか。

ATOMOSさん SHOGUN STUDIOはデッキ的な使用を想定して設計されていて、ラックマウントができるようになっています。リレー記録や異なるコーデックでの2台同時記録、RS-422リモートが可能で、電源も2重化されています。

InterBEEに合わせて発表されたというAJAさん Ki Pro Ultra。4K60P記録が可能です。3G-SDI、Fiber、HDMI の入出力ができて、最大 2時間、4K 60p ProRes 422 HQで収録可能です。

Convergent DesignさんODYSSE 7Q+は2K/HDで最大240fps記録に対応しているほか、ARRIRAW (ALEXA)や Canon Cinema RAW (C500)、Sony FS RAW (FS7/FS700)などにも対応しています。コーデックはDPXやApple ProRes 422 (HQ)で、7.7インチ1280x800の有機ELモニターを搭載しています。

ブラックマジックデザインさんBlackmagic Video AssistはHDのレコーダーですが、10-bit 4:2:2で、SDメモリーカードに、ProRes HQまたはDNxHDファイルで記録可能です。価格も6万円ほどで、安価なSDメモリーに記録でき、コストパフォマンス高いです。

画面表示はこんな感じで操作はタッチスクリーンで行います。5インチ1920x1080高輝度LCDモニターを採用しているので視認性はいいと思います。

SDIはSD/HD/3G/6G-SD対応ですが、コネクターはBNCではなくてDIN1.0/2.3コネクターを採用しています。
最近ではこうした記録だけでなく無線伝送の機材も増えてきました。特に携帯のキャリアを複数使うことで帯域を確保しつつ途切れのない伝送を可能としたものやクラウドサービスと組み合わせたシステム等があります。すでにテレビ局の報道などで使われているようですが、かといってすごく特殊なものというほどでもなく、レンタルで借りることもできるものもあります。遅延は避けて通れない問題ですが、だいぶ遅延も少なくなり画質的にも安定性などの面でも実用期に入ったと言えそうです。

Solitonさん モバイルライブ中継システムSmart-telecaster Zao。3G/ LTE/BGANなどの公衆モバイル回線を使って、リアルタイムに高品質な動画を配信できるソリューションで、独自のRASCOW (Real-time Auto Speed Control on Waterway model) 技術で、揺らぎの大きいモバイル回線上でも遅延の少ない、「切れにくい」映像伝送が可能ということです。

SolitonさんのiPhoneやiPadで手軽にライブ中継が可能になるiOS版Smart-telecaster ML。バージョンアップによりファイル転送機能を実装したそうです。

3G/4G-LTE回線H.264ライブトランスミッターAVIWEST DMNG PRO110。3G/4G-LTE回線を使用し放送品質(H.264)でのライブ中継を可能で、DMNG STUDIOレシーバーと組み合わせて運用するそうです。

NECさんが出品していたAMIMONのLiveLinkを利用した無線伝送システム。5GHz帯を使用しており、1msecと低遅延で200mほどの伝送が可能。

パナソニックさんクラウドネットワークサービスP2 Cast&Video over IP。現場収録画像をP2 Castクラウド経由で局から確認して必要部分を選択し、その部分の画像をカメラから直接取り込むという報道用途のシステム。

ソニーさんワイヤレス取材システム。現場収録画像をプロキシファイルとして転送し、プレビュー&編集という局用の報道システム。
メディアに記録するというワークフローが無くなることはないと思いますが、こうした無線伝送やクラウドサービスが進化するとカメラに記録することなく、いきなりクラウドベースのサーバーへ画像を伝送するようなことになるのでしょうか。すでにスマホなどではこうした動きがありますが、やはり画質的な面や伝送の安定性などがビデオ制作ではネックになると思います。現状HDまでならすでに放送で使われていることからかなり満足のいくところまで来ているようですが、4Kはとなるとまだ当分先の話になりそうですね。