
【レポート】 ビデキンちゃんが行く ~NAB2016~

今年も4K8Kがトレンドとなっていますが、それに加えてHDRが話題となっていました。4Kのカメラはすでに沢山発売されていて、昨年HDと同様な運用性を備えたB4マウントを採用したスタジオも発表され、すでに4Kは当たり前といった印象となってます。 昨年もありましたが、今年は8Kのカメラが各社から出展されるようになってきて、次のステップに進みつつあるようですね。NABの情報はすでに巷に出回っていますが、トレンドとなっている4K8KとHDRをキーワードにしてまとめてみようと思います。
まずは8Kのカメラですが、アストロデザインさんがAH-4810-A という8Kのカメラを出していました。アストロデザインさんはNHKと共同で早くから4K8Kに対応したカメラやレコーダーなんかを開発していて、カメラ以外の8K機材も幾つかあります。

アストロデザインさんの8Kウルトラハイビジョンカメラです。133Mピクセルの35mmフルフレームのCMOSセンサーを搭載し、7680×4320ピクセルの8Kフルレゾリューション画像に対応しています。デザイン的にもだいぶこなれてきた感じで、一般の放送用カメラに近いショルダータイプカメラになってますね。
8Kのカメラはほかにも池上通信機さんからSHK-810を出していたほか、 日立国際電気さんもだしていました。この3社はいずれもNHKと共同でかなり早い時期からカメラを手がけていますが、基本放送用途として開発したカメラとなっています。なので、CCUなんかも用意されています。

池上通信機さんの8K対応カメラSHK-810。3300万画素CMOSセンサーを搭載のカメラで、マウントはPLマウントとなっています。現行HDカメラで使われているファイバーケーブルを使ってCCUと接続できるそうです。

日立国際電気さんSK-UHD8060B8K小型単板式カメラシステム。HDRや広色域技術などに対応していて、 光システム伝送や収録ユニットとの組み合わせが可能です。
他にも8KのカメラはRED Digital Cinemaさんの WEAPON 8Kや試作品ですがキヤノンからも8Kのカメラがあります。この2社のカメラは放送用というより、製作用としての用途になっているようです。8Kは日本では放送が予定されているということもあり、国内勢が積極的なようですね。個人的にはBlackmagicdesignさんあたりが8Kカメラを出してくれると面白い展開になると思うのですが。

RED Digital Cinemaさんの WEAPON 8K。センサーの撮像エリアを可変可能で、ビスタビジョンとか映画のフォーマット(アスペクト比)で撮影できます。デジタルシネマ用のカメラですね。

キヤノンさんの8KカメラCINEMA EOS SYSTEM 8Kは、Canon EXPO 2015 Tokyoでも出展されていたもので、後部にOdyssey7Qレコーダーが4つもビルトインされていました。
さて、すでに当たり前になった4Kですが、小型ビデオカメラはソニー、パナソニック、キヤノン、JVC KENWOODさんが新製品を出品していたほか、Grass ValleyがLDX 86Nというスタジオ対応のカメラを出していました。Grass Valleyは昨年も4K対応のカメラを出していましたが、センサーが4Kじゃありませんでした。LDX 86Nはネイティブ4Kということで、ちゃんとした4Kカメラになっています。4K放送は日本だけでなく韓国とかも放送を予定しており、放送を前提としたカメラは今回のNABでは多かったですね。

ソニーさんの4KスーパースローモーションカメラシステムHDC-4800。HDと同様な運用ができるそうです。4Kで8倍のスローモーション撮影ができるので、スポーツ中継などで活躍が期待できそうですね。

パナソニックさんの単板の大判センサーを採用した4KスタジオハンディカメラAK-UC3000シリーズ。放送用の2/3 型B4マウントレンズ対応ですが、変換光学系を内蔵することで、単板の大判センサーに対応していて、カメラコントロールユニットによりUHD/HD/SDの同時出力が可能となってます。

キヤノンさんのマルチパーパスカメラME200S-SH。820万画素Super 35mmデュアルピクセルCMOSイメージセンサーを搭載していて、デュアルピクセルCMOS AFによる高速なオートフォーカスが可能だそうです。

Grass ValleyのLDX 86Nは、2/3型の3840x2160p 4K XensiumHAWK CMOSセンサーを搭載した3板式で、B4マウントのレンズを装着できるそうです。
ょっと忘れ去られた感のあるHDですが、ちゃんとソニーさんやパナソニックさん、JVC KENWOODさんなどから新製品がでています。昨年あたりまで積極的にカメラを出していたBlackmagicdesignさんは、今回新製品のカメラはなくってレコーダーやモニターなどの周辺機器を中心にした製品展開となっています。そうそう、レコーダーといえばATOMOSさんが4K60P対応の新製品 SHOGUN FLAMEとSHOGUN INFERNOを出してました。PQ(Perceptual Quantizer)ガンマ搭載でいわゆるHDR(high dynamic range)対応になってます。
カメラを始めとしてHDR対応機材は増えていますが、現状現行HDと互換があるHybrid Log Gamma(ARIB STD-B67)とUltra HD Blu-rayで採用のPQガンマ(SMPTE ST 2084)が主流となりそうです。いずれにしても肝心の視聴環境がまだ整っていませんので、本格化するのは来年以降となりそうですね。

JVC KENWOODさんのProHDスポーツコーチングカメラレコーダーGY-HM650SC 。XOS Digital社のスポーツコーチング向けアプリケーション「XOS Thunder HD」と連携することで、選手の移動距離やスピードなど各種情報をメタデーターとして映像と同期可能で、ストリーミング伝送できるそうです。
とはいえ、HDR対応のモニターはコンシューマー製品の試作品が各社からCESで出品されていますし、NABでも業務用のモニターがEIZOやキヤノンなどで参考出品されたいましたので、意外と早い時期に一般化するかもしれません。

EIZOさんの開発中のモニター。4096×2160ピクセルで、 Rec.2020の色域とPQガンマやHybrid Logガンマに対応していて、 画面全域にわたってムラのない均一な明るさをキープしています。
また、NetflixやAmazonのほかYouTubeがHDR対応を表明していますので、制作環境や視聴が整えばいつでもHDRでコンテンツの視聴が可能な状況になっています。こうした背景もあってか放送業界でもIP対応を各社がこぞって発表しているのも今年のNABの特徴のひとつと言えそうです。