
【レポート】 ビデキンちゃんが行く ~ケーブル技術ショー2016~

7月28、29日有楽町にある東京国際フォーラムで開催されたケーブル技術ショーにいってきました。5-6年前までは池袋のサンシャインシティや東京ビッグサイトでコンテンツホルダーも含めて開催されていていました。会場規模も大きくなり、最近は技術系とコンテンツ系が分かれて開催するようになったようですね。ちなみにコンテンツ系は9月30日に名古屋ガーデンパレス、10月1日からは栄のオアシス21で開催されるそうで、一般の視聴者が対象になり、けーぶるGIRLSというユニットとともにアニメキャラクターによるショーなどが開催されるようです。
一方、ケーブル技術ショーは、カメラなどの撮影関連機材やセットトップボックス、光ケーブルなどハードウェア中心の展示会になっています。ケーブルTVって基幹部分はほとんど光ケーブルになっていて、すでにインターネットのサービスやIPTV、地域の防災インフラなどを支えるまでになっています。また、公共の電波を利用する放送と違ってある意味ローカルルールが通用する世界なので、4K8K放送など、最新の技術を取り入れることもいち早く対応できます。ということで、ケーブル技術が拓く!未来のCATVネットワーク社会が今年のメインの開催テーマとなっていて78社が出展していました。

初日午前中の受付には大勢の来場者が並んでいました。
CATVは元々難視聴対策や地域の情報を発信する自主放送など映像中心にスタートしたわけですが、インターネットサービスも開始するようになってからはセキュリティーや防災、高齢者への対応など多岐にわたるサービスを提供できるようになってきました。それに伴って様々なハードウェアが各社から出展されているんですが、ここでは映像制作系を中心に見ていきましょう。
まずは、カメラやモニターTV、セットトップボックスなど総合的に扱っているソニーさんとパナソニックさんです。ソニーさんは、ショルダータイプの4Kカメラや超高感度の業務用カメラを参考出展として出品したほか、XDCAMメモリーカムコーダーPXW-Z150、番組自動送出システム、業務用の非常電源システムなどを出展していました。

NABでPXW-Z450という型番で発表されていたソニーさんのショルダータイプの4Kカメラですが、ここでは型番は公表されていませんでした。B4マウントを採用していて2/3インチ3板式の光学系になっています。記録フォーマットは4K/HD両対応のXAVC Intra/Longコーデックを採用していて4K60pの撮影も可能となっています。

高感度・低ノイズの1.0型積層型CMOSイメージセンサー Exmor RSを搭載した4K対応のソニーPXW-Z150。レンズは光学12倍のGレンズを搭載していて、HDでは24倍まで対応しています。記録は、4K/HD記録に対応したXAVC Long GOPに加えて、MPEG HD422/420、AVCHDフォーマットが可能となっています。メモリースロットはSD&メモリースティックPROとSDの2基搭載しており、同時記録やリレー記録などが可能です。4Kは30pまでですが、HDでは最大120fpsで収録できます。手前はProSDメモリーカードで、モールド構造になっていて防塵防水仕様の業務用メモリーです。

最低被写体照度 0.004 ルクス以下でも撮影可能なソニーネットワーク対応カメラSNC-VB770。監視カメラ用として設計されたカメラですが、レンズはEマウントレンズを使用します。監視用というとCマウントが一般的ですが、35mmフルサイズのCMOSイメージセンサーを採用しているので、デジタル一眼用のレンズなんですね。LAN接続のほかHDMI出力もあるので、監視用途以外にも使えそうですね。

SNC-VB770用コントローラーです。ズームとかレンズのコントロールや各種設定が行えるようになってました。これ、ソニーさん製ではなくて斡旋商品ですね。

参考出展の高感度カメラ画像。かなり暗い海辺での撮影ですが、カラーで映像が写せます。右上が一般のカメラの映像で、ほとんど何も写っていません。

パナソニックさんは例の赤いカメラDVX-200のほか、NABで発表し、国内では秋に発売予定となっている4K対応カメラAG-UX180、4K対応のレコーダー内蔵セットトップボックス、4K Hybridcast、ケーブルテレビ局向けホームネットワークシステム 、参考出展の8K対応のケーブルテレビ用伝送システムなどを出展していました。パナソニックさんは送出設備系やセットトップボックスなどのクライアント機器に力を入れている印象でした。

秋に発売予定になっている4K対応カメラパナソニックAG-UX180は、アクリルケースに入れられて出品されていました。1型のセンサー搭載で、4K60p撮影が可能。レンズは光学20倍で、UHD、フルHDのデュアルコーデック記録ができます。ただし、デュアルコーデック記録時は4K60pには対応していないそうです。もちろんSDIやHDMI出力端子も装備しています。価格は40-50万円ということなので、発売が待ち遠しいですね。

パナソニックDVX-200は、制作用のカメラとしては上位機種という位置づけで、AG-UX180より大判のセンサーを搭載しています。デザイン的にはショルダー型のENGカメラですが、機動性のある制作用のカメラといった感じでしょうか。

パナソニック8Kケーブル伝送ソリューション(参考出品)は、現状のCATV帯域を複数占有して伝送するトランスモジュレーション装置や8K対応のBSモジュレーション装置、IPパケット伝送装置のほか、8Kデコーダーなどで構成されていて、現在考えられているいくつかの8K伝送システムを網羅しているということです。

さて、ほかにもレコーダーや小型スイッチャー、モニター、無線伝送装置、各種コンバーターなど様々な周辺機器も出品されていましたが、すでにHDではなくて4Kや8Kがメインになっていましたので、そのあたりを中心に見ていきましょう。

テクノハウスさんが扱っているEnsembleDesigns社の小型スイッチャーNXT450ですが、ファームアップデートによりRTMPプロトコルに対応になり、YouTubeやUSTREAMにアップできるようになりました。基本HDのスイッチャーなので、4台までのカメラを接続してスイッチできます。かなり小型ですが、LCDモニターが搭載されていてモニターもできるようになっています。ちなみにHD-SDI対応は共通していますが、HDMIやフォーマットコンバーターを内蔵した機種などいくつかの姉妹機種があります。

テクノハウスさんが扱うCONVERGENT DESIGN社のレコーダーOdyssey7Q+ は 7.7インチの1280x800 有機ELパネルを搭載していて、フルレンジカラーガマット REC709 またはDCI P3による表示が可能。4K60pの入力をProRes(HQ/422/LT)で収録できるほか、ARRIRAW(ALEXA)やCanon RAW(C500/C300MkⅡ)、ソニーFS RAW(FS700/FS7/FS5)にも対応しています。記録は圧縮2K/HD 10ビット YCC422:1080p60または1080i60のほか、圧縮4K/UHD 10ビット YCC422:2160p29.97、非圧縮2K/HD 10ビット YCC422:1080p60、非圧縮2K/HD 10/12ビット RGB444:1080p30に対応。

テクノハウスさんが扱うAVIWEST社のライブ中継機材DMNG PRO180-RA。3G/4G-LTE回線を利用したH.264 コーデック搭載の無線伝送装置で、8基のSIMカードスロットを装備していて インサルマット社が提供している衛星電話サービスBGANやアラブ首長国連邦が提供しているThurayaSatelliteTelecommunicationsのThurayaのほか通信衛星のKaバンドなどを利用して画像伝送が行えます。

ソリトンシステムズさんは既存の衛星などの通信インフラを利用した伝送装置をいち早く開発したメーカーで、写真のSmart-telecaster Zaoはモバイル回線に最適化されたRASCOWテクノロジーを搭載しており、回線の帯域幅に応じて圧縮比を調節し、回線が低レートになっても伝送画像が破城しないという特徴をもっていて、安定したHD画像伝送ができるといいます。

マイクロソフトの放送局向けビデオ通話ソフトSkype TXが搭載されたライブストリーミングシステムNewTekのTalkShow。Skypeっていうとパソコンでテレビ電話的な通話ができるっていう認識だったんですが、これは通常のSkypeソフトウェアとは違ってツールによってポップアップ表示される広告等の情報を非表示できます。映像を伝送する帯域が予め設定した値を下回った場合には、任意の静止画を表示したり、カラーコレクションなどの画質調節などにも対応しています。HD-SDI入出力やタリーに対応していて、TriCasterとかじゃなくても接続可能となっています。TriCasterや 3Play などNewTekの機器とはAirSendで接続することで、映像や音声などまとめて接続対応できるようになっているそうです。元々の技術がSkype なので遅延も少ないですね。

これがTalkShowのコントロール画面で複数の通話映像を制御できるようになっています。

アストロデザインさんの非圧縮4K8K対応SSDレコーダーHR-7512C。以前は4Kでも4台のレコーダーを同期させていましたが、今では4Kならコンパクトに1台で対応できるようになっています。早い時期から4K8Kに特化した機器を開発していたということもあり、カメラやレコーダー、モニターなど様々な機材を出品していました。

アストロデザイン55型フルスペック8K対応液晶モニター。120Hz表示が可能で、U-SDIやSNAP12、HD-SDIなど様々な入力に対応。U-SDIはスーパーハイビジョンのために開発されたインターフェースなので光ケーブル1本で映像も音声もOKですが3G-SDIだとBNC×8本、HD-SDIだと16本も接続しなくてはならないそうです。

HD/SD対応のキャラクタジェネレーター朋栄EzV-300には統合ソフトウェアTelopStationが搭載されていて、原稿からのテロップ打ちやテンプレートに沿った入力や流し込みなどが可能。操作は画面をタッチして簡単に操作できるようになっています。

2系統を同時に制御できるようになっていて、一方を自動送出、もう一方を仕込みになんてことができちゃいます。画面というはマシーンは1台なので同時に操作できない作業もありますが、片方をリモコンを使えば同時操作できます。

これがそのリモコンです。カスタム対応も可能だそうです。

Avidは放送業界で定番といえる編集システムMedia Composerの新しいバージョンやストレージシステムの新製品NEXIS PRO、アセットや送出管理のInterplay | Productionなどを出展していました。

さくら映機さんはテープ時代に慣れ親しんだコントローラーを使って編集できるシステムとして4K対応のPrunusのシステムを出品。収録から編集、送出までを一貫したワークフローで実現していました。それぞれのメーカーに対応したメディア用ドライブを接続することで、ソニーさんのXDCAMやパナソニックさんのP2HD、池上のGFPAKなどフォーマット混在編集にも対応できるということです。

リーダー電子さんは撮影現場では欠かせない測定器として4K対応マルチ波形モニターLV 5490のほか受信電波を計測するシグナルレベルメーターLFシリーズなどCATVにおける制作から受信までの測定ソリューションを披露していました。

パイオニアさんは4Kや8Kに対応したセットトップボックスや ケーブルモデムやケーブルテレビ放送や番組と連携したアプリサービスを提供できるハイブリッドBoxなどを出品。ハイブリッドBoxは各地域のCATVごとに異なっていたアプリケーションインタフェース仕様を共通化したもので、インターネットを介してPCやスマートフォン、タブレット等のマルチデバイスとの連携などにも対応しているそうです。

4K対応のHD内蔵セットトップボックスBD-V4700RLのほか、参考出品として8K対応のセットトップボックスを出展していました。8KのセットトップボックスはMMTを現行のTSに変換して視聴タイプのものとなっています。

ビデオトロンさんは4K対応製品として4x2マトリックススイッチャーMTX-70-42Fや4K・HD-SDIコンバーターUHC-70などのほか、写真のようなHD/SD対応の小型コンバーターなどを出展していました。フィールドなどで重宝しそうですね。

メディアエッジは2K4K対応のIP伝送システムや複数メーカーのネットワークカメラを混在することが可能で受信した映像をHDMIやSDIで直接出力できるMEDIAEDGEのNetViewシステムのほか、写真のような小型コンバーターVideoProシリーズなどを出展していました。VideoProシリーズにはVマウントやLマウントのバッテリーアダプターが用意されていてビデオ機器で使われているバッテリーを利用することができます。