
【レポート】 ビデキンちゃんが行く ~NAB2017 ソニー編~

ハンディタイプのカメラからスタジオ・中継用のカメラまでソニーさんは一通りのラインナップをすでに揃えちゃった感じで、そうしたカメラを使って実際どうやって運用していくの?っていうところに重点を置いていたように思います。カメラ以外にもスイッチャーやスタジオ機器もすでに4K対応になっていますし。そこで、何が違うのかというとIPの規格が収束してきたことと、放送でのHDR規格が昨年の夏ごろに決まったことで、実際の運用に向けて機材の対応やシステムが新しくなるというところでしょう。HDRは以前からソニーさんは積極的でしたが、HDRってカラーグレーディングが前提になることが一般的なので、なかなか忙しい現場的にはムリだったのではないでしょうか。ソニーさんは今回グレーディングしなくてもいいようなソリューションを紹介していました。

7月にPXW-FS5がV4.0にPXW-Z150がV2.0になっていずれもHybrid Log Ganmma(HLG)対応になります。フォーマットは4KはXAVC-Long 4:2:0 8-bit、HDはXAVC 4:2:2 10-bitです。

Hybrid Log Ganmma対応以外にもHDR撮影にともなう機能としてGanmma Display AssistやHistogram&Zebra機能も搭載されるようです。

Instant HDR WorkflowのコーナーではバージョンアップされたPXW-FS5やPXW-Z150で記録されたXAVCを一般のノンリニアで編集。カラーグレーディングをしなくてもHDRを利用できるワークフローを紹介していました。

昨年放送や家庭用のレコーダーとかで使われるHDR規格としてBT.2100が決まったのですが、これって4KだけでなくてHDも含んでいるんですよね。なので、4KやHD、Logなど相互に変換する必要が出てきます。HDRC-4000はそうした変換を行ってくれるコンバーターです。

HDR関係ではほかにもLMD-AシリーズのモニターのファームウェアV2.0が発表されました。これによりITU-R BT.709やBT.2020のほかDCI P3にも対応になりました。

モニターの新製品としてITU-R BT.2100のPQおよびHLG対応のBVM-E171がありました。もちろんITU-R BT.709やITU-RB T.2020、EBU、SMPTE-C、DCI-P3にも対応しています。フィールドでの使用も考えられますが視野角が広いのがいいですね。ただ、電源は12Vではなくて24Vです。

カメラ関係の新製品はUMC-S3CAという4K対応ビデオカメラがありますが、一般撮影用ではなくてVRとか360°撮影で複数のカメラを使うような用途を想定したものとなっています。なので、画像を確認するためのLCDモニターもなければ設定確認のディスプレーもついてません。

あるのは画像出力のHDMIコネクターや電源、USBおよびPC接続用のコネクターくらいでしょうか。ということで、設定とかは当然PCから行うようになっています。

記録メモリーはSDでスロットは2基備えています。記録フォーマットはXAVC Sフォーマットで最大100Mbpsでの記録が可能。4K(3810×2160)29.97P/25PおよびHD収録に対応しています。マウントはソニーEマウントで、感度は最大ISO 409600。かなり暗い所でも撮影できますね。

北米ではカメラの映像をワイヤレスで伝送することが盛んでソニーでも以前からCBK-WA100というアダプターを使ってクラウドに画像を伝送する仕組みを作っています。Ci Media Claudというコーナーではソニーが運営しているMedia Cloud Servicesを使ったデモンストレーションが行われていました。伝送した画像の確認とかはWebベースで行えるので便利ですよね。興味のある方はトライアルもできるみたいなので試して見るのもいいかもしれません。こちら https://www.sonymcs.com/ で対応カメラや使い方など紹介しています。

XDCAM Airも同じようにワイヤレスで伝送するんですが、仕組み的には放送局とかで使うようなもう少し高度な仕組みになっています。PWS-110サーバーを使って収録素材の管理やノンリニア編集との連携、ストリーミング配信などに対応しています。

カメラ以外の機材も見ていきましょう。8入力1MEスイッチャーMCX-500です。入力はHD/SD-SDI×4 / HDMI×2とコンポジット×2 、タイトル用のRGBを備えていて、USTREAMサービスに対応したストリーミング機能も搭載しています。

MCX-500はPC接続してWebブラウザから操作や設定ができます。ほかにも本体にSDカード/メモリースティック兼用スロットがあってプログラムアウトの映像音声をAVCHDフォーマットで記録することができます。

コンパクトスイッチャーMCX-500はリモートコントロールユニットRM-30BPと組み合わせて最大3台のカメラの液晶モニターにプログラム、ネクストなどのタリー表示を行うことができますが、今回NXR-NX5RのほかPXW-FS5およびファームウェアアップでPXW-Z150も対応になりました。

MCX-500と組み合わせて出展されていたフルHD60p収録に対応したカメラHXR-NX5R。昨年の夏発表の新製品ではあるんですが、HDからなのかあまり目立った展示はされていませんでした。

Thunderbolt 2インターフェースを採用のメモリーカードリーダーAXS-AR1。AXS-CR1の約4倍の高速データ転送が可能で、大容量の映像ファイルでも短時間でインジェストできます。10月発売予定。

2.5インチのProfessional SSDメディアSV-GS96とGS48。ATOMOSやブラックマジックデザインのレコーダー対応していて、転送レートは書込み550MB/s、読み込み500MB/s。週5回の頻度で全領域を書換えた場合でも約10年間の使用に耐えるそうです。

ポータブルストレージとしてグレーのPSZ-HAやPSZ-SAがありましたが、色がブラックのPSZ-HCシリーズが新製品として出ていました。読み書きとも138MB/sで1TのPSZ-HC1Tと2TのPSZ-HC2Tがありました。インターフェースはFireWire はなくてUSBのみです。
さて、ソニーさんまだまだ盛りだくさんで紹介しきれない部分もあるんですが、そろそろ次のブースへと移ろうかと思います。HDRもIPも早くから手掛けていたこともあって製品だけでなくシステムとして完成したんじゃないかと思いますね。規格も決まりこれから各国の放送局に売り込みをかけるんでしょうか。おじさまがいうには早くから製品開発するとともに規格化にも力を入れてきた結果じゃないかと。VTRがなくなった現在はVTRのフォーマットで顧客を囲い込むことはできなくなったので、そのかわりの手段じゃないかっていってましたが、どうなんでしょうか?