
【レポート】 ビデキンちゃんが行く ~NAB2015~

遠路はるばる行ってきましたよNAB。毎年NABを取材しているというおじさま曰く、今年は世界的に景気が上向いて来ているので、出展ブースの数も多く新製品も沢山あるんじゃないかということでした。日本だけでなく4K放送を始める国が幾つかあるので、4K製品に注目だそうです。それではさっそく会場に行ってみましょう。
展示会場はノースホールとセントラルホール、サウスホールの3つに分かれていて、ソニーやパナソニック、JVCなどのカメラメーカーや三脚などの撮影関係の周辺機器はセントラルホールに集まってます。ということで、まずはセントラルホールから見ていくことにしました。

音楽に合わせて電子ドラムを叩いていました。人垣ができるほどなので、有名人なのかも。

ブラックマジックと将軍の広告が大きく掲げられたセンターホールの入り口。間口は狭くても奥が深いです。
入り口はこんな感じで噂に聞いていたほどのスケール感はありません。その横ではノリの良いクラブ系の音楽が流れていてみんな写真に撮ったりしてました。中には音楽に合わせてノリノリの人も見受けられます。いやー朝からテンション上がりますね。これは。 エントランスを入ると長い廊下が続いています。うなぎの寝床のように細長い会場なんですね。ほど近い入り口から入ってまずは、パナソニックさんのブースに行ってみましょう。
パナソニックブース

これくらい引いて見ても赤いカメラって目立ちますね。SDスロットを2基備えていて4K記録時はUHS Speed Class 3のメモリーが必要です。転送レート200Mbpsってとこでしょうか。
昨年はあまりパッとしなかったパナソニックさんですが、今年はすでに発売になっているVARICAM35のほか、4KスタジオハンディカメラAK-UC3000シリーズ、4/3型大判センサーを搭載したレンズ一体型4K カメラDVX200のほか、HDスタジオハンディカメラAK-HC5000シリーズやクラウドネットワークサービスP2 Castに対応したAJ-PX380Gなどカメラを中心に沢山新製品を展示してました。 DVX200は赤を基調としたカラーリングがオシャレですね。でも業務用カメラなんでどうなんでしょうかこのカラーリングは。帰ってから社長にに聞くと昔JVCがKY-1900というカメラを出していてそれが赤いボディだったそうです。当時沢山売れてベストセラーだったそうなので、赤いのもいいのかもしれません。会場でも目立つディスプレーをしてました。
で、ほかのカメラはというとガラスケースにまとめて並んでました。そうなんです。みんな今年の秋から冬にかけて発売予定のカメラなんですが、モックアップなんですね。映像を出しているカメラが見当たりません。そうして考えてみるとDVX200以外は急遽出展を決めたみたいな気もします。

角ばったデザインです。製品化までに変わるかもしれませんね。3板式でB4マウント、CCUなども用意されています。

新製品のカメラが並べられたショーケース。ほとんどがモックアップのようですが、年末から順次発売される予定となっています。
その横にはTOUGHPADやTOUGHBOOKが並んだ陳列台がありました。これで編集?って思いましたが、そういうことではなさそうです、プレゼンに使ったりお店とかに置いて商品やサービスの説明に使うということのようです。でも、20インチはデカすぎです。なんか小学校の時の写生に使った画板を思い出してしまいました。

4K対応のTOUGHPADですが、PADというのは違和感のある大きさですね。でも画面が大きいので操作はし易いですし、画面も綺麗で見やすいかったです。

TOUGHBOOKは以前からありますが、機種も増えて色々なところで使われています。収録現場でバックアップ用とかいいかもしれません。
ARRIブース
さて、ここは1段高台になっていてそこから見下ろすとARRIやキヤノン、JVCのブースが並んでいるのが見えます。開放的なブースで人が沢山いるARRIのブースから見て行きましょう。
ARRIはALEXAの発売から比較的リーズナブルな価格路線になっていますが、周辺機材も含めて揃えるとやっぱりそれなりのお値段になりますね。でもARRIのカメラは国産のカメラにはない独特のデザインというかオーラが違いますよね。
ARRIで今回注目なのはデジタルシネマ用のカメラALEXA 65とALEXA Miniではないでしょうか。ALEXA 65は今までのARRIのカメラと違って完全に映画撮影用のカメラとなっています。なので、フレームレートも20-27fpsで、HDとかのフォーマットには対応していません。センサーも54.12×25.59mmという大きなサイズで、よく大判センサー搭載の4Kカメラなんてカタログに乗っているのを目にしますが、そんなの足元にも及びません。今までのARRIのカメラは4Kといってもデジタルシネマ系の4096×2160ではなくってUHDだったので、映画系のカメラマンにとっては待ちに待ったカメラなのではないでしょうか。このカメラレンタルのみで販売はしないそうです。

65mmフィルムサイズの大きなセンサーを搭載してます。写真のバックにロゴがありますとおり、レンタルのみのカメラです。
ALEXA Miniは最近はやりのドローンによる撮影やジンバルに搭載しての撮影に対応したカメラだそうです。電動NDフィルターやレンズモーター制御機能が搭載されていてこうした撮影に向いた仕様になっています。15cm角ほどの大きさで操作部分もほとんどありません。なんかARRIらしくないデザインですね。ARRIでは他にもニューモデルになったALEXA SXTやProRes UHDに対応したAMIRAなどがブースに並んでいました。

ARRIのカメラで一番小さなサイズですが、CFastメモリーにARRIRAWや4K UHD ProRes収録ができます。
キヤノンブース
そのお隣はキヤノンです。4K ビデオカメラXC10やEOS C300 Mark II、24 型4K リファレンスモニターDP-V2410がNAB前に国内でも発表された新製品で、開発中の4Kフィールドズームレンズも出展してありました。

ちっちゃくて可愛いXC10。このサイズで4K撮影可能ですが、CFastメモリーが今はちょっとお高いです。東京店で6月12日、大阪店で6月13日にお披露目会を開催いたします。当日ご予約特典もございますので、是非お越しください。
あそうそう、こうした4K対応の新製品が目立ってますが、HDの小型ビデオカメラXF205も新製品です。XF205は後発ということもありますがなかなかいいカメラだと思います。広角28.8mmからの20倍ズームレンズで、CFとSDメモリーカードスロットがあってCFにはMXFで50Mbps、SDにはMP4で35Mbpsとなっており、同時記録も可能です。ソニーのPXW-X180と違って4chオーディオ対応です。4K ビデオカメラXC10とEOS C300 Mark IIにはキヤノン独自のビデオフォーマットXF-AVCフォーマットが採用されています。XF-AVC 記録は305Mbpsと205Mbpsでの記録になっていてCFastメモリーへの記録になります。HD記録は50Mbpsまたは35Mbpsで、SDカード記録です。実際このカメラを現場で見た第一印象はちっちゃい!。業務用のカメラを見慣れているせいもあるかもしれませんが、民生機のカメラと見間違えるほどです。でも、1型のセンサーで、レンズも27mmからの10倍ズーム搭載、8bit Canon LogとワイドDRガンマも選択可能となってます。あと感度もISO20000で、最大1/4倍のスローモーションや最大1200倍のファーストモーション記録にも対応しています。ちっちゃいからってナメてはいけませんね。この大きさなんで色々操作ボタンとかボディに付けられないんで、設定とかはLCDモニターで行います。3型のモニターなんで、指の太い人には操作しづらいかも。

HD小型ビデオカメラXF205。回転グリップやフォーカスとズーム、アイリスを独立して操作できます。有機ELのモニターも搭載していて使い易そうな感じです。
JVCブース
キヤノンのお隣はというとJVCです。ライブストリーミングに対応した業務用4KカメラGY‐HM200や業務用4KカメラGY-HM170、マイクロフォーサーズマウントの4KカメラGY‐LS300、参考出品ですが4K対応リモートカメラシステムが新製品ですが、ファームアップしたGY-HM600U/650Uや850U/890もNEWとなってました。JVCといえばSDメモリー4枚に4K記録というカメラを出して世界初ということで当時話題になりましたが、さすがに今は1枚のSDメモリーに4K記録できるようになっています。ただ、QuickTime形式で150Mbpsというのは、他社の4Kカメラと比べてイマイチかな。その代わり他社が高価なメモリーを必要とするのに対し、リーズナブルなSDカードを使えるという点ではポイント高いです。

JVCのレンズ交換式4KカメラレコーダーGY‐LS300。バリアブルスキャンマッピング技術を搭載していてレンズのイメージサイズに合わせてセンサーのスキャンサイスを調節可能ってことですが、技術に詳しいおじさまによるとマイクロフォーサーズで規定しているよりSuper 35mmセンサーのほうがわずかにサイズが大きいそうでその対策だろうとのことでした。

ファームウェアバージョンアップされたHM890U。ファイル転送とかストリーミングに対応しました。海外ではネット対応は必須のようで、各社対応の方向ですね。
ソニーブース
ここで、一休みして会場の一番奥にあるソニーへいってみましょう。
ソニーは今回あまり多くの新製品を出していません。すでに4KのカメラもHDのカメラも出し尽くしてしまったということでしょうか。それでも、4K/HD対応スタジオ&中継カメラHDC-4300とPXW-X180、PXW-X320、PXW-X200、PXW-X500を4G/LTEやWi-Fiネットワーク対応にするアップデートのほか、4KメモリープレーヤーPMW-PZ1が新製品として出展されています。HDC-4300は昨年まで各社から発売されていたカメラと違って3版式のB4マウントのカメラです。今までのHDカメラ用のレンズが使えるようにということですが、キヤノンもフジノンも今回4K対応のB4マウントレンズを出しており、スタジオ撮影のドラマやスポーツや音楽イベントでは画質的に4K対応のレンズが必要ということのようです。CCUやVFなどセットで約1,400万円もしますので、ウチのお店に置くようなカメラではないですね。完全にスタジオや中継の設備の一部といった感じです。

4K/HD対応スタジオ&中継カメラHDC-4300。箱型レンズを装着できるクレードルやCCUなどが用意されています。

4KメモリープレーヤーPMW-PZ1。XAVC 4KやHD、MPEG HDの再生もできます。USBで外付けしたメディアからの再生も可能です。
Blackmagic Designブース
初日の朝ブラックマジックデザインのプレス発表があってカメラだけでも沢山の新製品があると、発表会に出席したおじさまからの情報があったので、サウスホールに行って見ましょう。

Blackmagic Micro Cinema Camera。RAWおよびProResでSDメモリーに記録。マウントはマイクロフォーサーズなのでレンズは色々選べますね。ディスプレーはついてません。

URSA MiniはURSAよりかなり小型で私でも手持ち撮影できそうです。ただ、オプションのハンドルとか肩パット、VF、バッテリーなどを付けて写真のようにすると3kgをかるくオーバーしちゃいます。
いや~なんかすごいことになってますね。手のひらに乗っかるような小さいカメラが2機種にミニURSA、新たなセンサー搭載のURSA、モニター装備のレコーダーなどなど新製品てんこ盛りです。過去こんなに沢山の新製品をNABで発表したメーカーなかったんじゃないでしょうか。ちっちゃいカメラはATEMスイッチャーからカメラ設定などが行えて、6G-SDI出力を搭載したBlackmagic Micro Studio Camera 4Kとドローンなどに搭載した時に各種設定やカメラコントロールが行えるインターフェースコネクターを装備したMicro Cinema Cameraの2つ。ラジコン系でよく使われるインターフェースを搭載しているようですが、コネクターとの接続は各自自己責任で対応とのことです。今までのURSAはちょっと大きくて重くてという人にぴったりなのがURSA Miniでしょうか。4Kと4.6Kのセンサー搭載モデルがあります。あと、URASAも同様に4Kと4.6Kのセンサー搭載モデルが登場しました。URSAを始めとしてUHDからDCI系の4K対応モデルを追加した感じですね。
カメラメーカーはまだ他にも沢山ありますが、今年のNABでひとつはっきりした傾向があると感じたのはソニーやパナソニックなどの放送機器メーカーはUHD製品に、ブラックマジックデザインやARRIなどはデジタルシネマ系のカメラに的を絞ったということです。いままではどこのメーカーもどっちつかずのような製品でしたが、これでなんかスッキリした感じです。
お店にも入荷次第こうした新製品を出していくとともにWebでも情報提供をしていきますので、期待していてくださいね。以上、ビデキンちゃんレポートでした。